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起業するしかなく時間もない人の戦い方

いつも税務に関する記事ばかりなので、久しぶりに経営論。
まるで小冊子のような記事ですが中身は濃い(つもり)です。

 

読みやすく目次式にしています。
一気に読む時間がないなら、興味がある箇所だけ読んでみて下さい。

 

手続きはこうしろとか、税金がどうとかいう話は
今回はあえて、一切していません。

 

長年、開業支援に携わってきた税理士が
心から思うことを率直に書いた記事だと思って
お読み下さい。

 

<本記事の内容(目次)>

 

(1)利益と時間の同時確保という無理難題

 

(2)時間を確保すると減る利益。どうすれば?

 

(3)限られた資金で時間確保;仕事を断捨離してから外部活用

 

(4)限られた資金で時間確保;仕事場には“行く”しかない?

 

(5)限られた時間で利益確保;売りたいものより「売れる」ものを

 

(6)限られた時間で利益確保;差別化を図れる人の発想とは

 

(7)終わりに;今の働き方改革は多くのフリーランスを産む?

 

 

  • <ここから本文>

 


(1)利益と時間の同時確保という無理難題

 

 

起業するしかないから起業したという人の場合、
この2つのミッションを同時に課せられているという事が
多くあります。

 

1.生活できるための利益の確保。
2.生活を営むための時間の確保。

 

開業初期はとにかく、利益がでるようになるまでは
がむしゃらに働くんだよと言う人もたくさんいますが、

それは100%、仕事に全力投球できる人の話です。

 

起業せざるを得ない人というのは、少なからず
子育て中だったり、身内の介護をしていたり、自分に病気があったり、
あるいは定年退職後で若い時ほど体力が無かったりというように

 

仕事に専念したくてもできない
でも仕事しないと生きていけない

 

という事情を抱えていることが多いものです。

 

独立したので自分の力で仕事を取ってこないといけないし、
取ってきた仕事は締め切りまでに仕上げないといけない。

 

そこで使える時間は全て仕事に回して必死で利益を上げると…。

 

身体や心が壊れます。
家の中が乱れます。

 

長続きしませんよね、こういうの。

 

それならばと仕事をセーブして時間を作ったら今度は
肝心の収入が思うように得られない。

難しい悩みです。100%の解決策などありません。

 

そこで、借りられる助けは全て活用しようということが
1つの提案として言われるのですが…。

実際のところ、それってどこまで可能なのでしょうか?

 

 

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(2)時間を確保すると減る利益。どうすれば?

 

自営業者は時間に融通が利く。
このこと自体はウソではありません。

 

借りられる助けは全て活用すると良い。
これも真実には違いありません。

 

ただ、実際にはこんなことが起こり得ます。
↓  ↓  ↓

 

※ いつでも休憩できる一方、いつでも仕事が押し寄せる

 

※ あてにしていた助け(保育園、実家、介護施設など)が借りられなかった

 

 

そこでよく勧められる「模範解答」がこれ。
↓  ↓  ↓

※ いつでも休憩できる一方、いつでも仕事が押し寄せる
→ 従業員や専門家に任せるべきは任せて!

 

※ あてにしていた助け(保育園、実家、介護施設など)が借りられなかった
→ 他にも色々あるサービスを活用しましょう!

 

 

それができるなら問題ありませんが、実際には
独立したばかりの人達の現場の実情はこんな感じです。
↓  ↓  ↓

※ いつでも休憩できる一方、いつでも仕事が押し寄せる
→ 従業員や外部の専門家に任せるべきは任せて!
→ そういう人を雇う(頼む)だけのお金がありません!

 

※ あてにしていた助け(保育園、実家、介護施設など)が借りられなかった
→ 他にも色々あるサービスを活用しましょう!
→ そのサービスを利用するだけのお金がありません!

 

そう、時間を作るための色々な手段を利用するにも、
多くの場合、お金が必要なんです。

でも時間は作らないといけない。
1日は24時間しかない。

 

乗り切っている人はどうやっているのでしょうか?
↓  ↓  ↓

※ いつでも休憩できる一方、いつでも仕事が押し寄せる
→ 従業員や外部の専門家に任せるべきは任せて!
→ そういう人を雇う(頼む)だけのお金がありません!

 

そんなときは…

 

仕事そのものを断捨離する。

 

 

※ あてにしていた助け(保育園、実家、介護施設など)が借りられなかった
→ 他にも色々あるサービスを活用しましょう!
→ そのサービスを利用するだけのお金がありません!

 

そんなときは…

 

仕事場そのものを近くに引き寄せてしまう。

 

お気づきでしょうか。
ちょっとした発想の転換です。

 

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(3)限られた資金で時間確保;仕事を断捨離してから外部活用

 

まずはこれ。
本当に必要な仕事以外は「やらない」という
仕事そのものの断捨離です。

 

そのためにはまず、自分の仕事をこんな風に分類してみましょう。

↓  ↓  ↓

【分類1】絶対に自分がやらないとダメなこと

 

【分類2】自分がやった方が良いが他の人でもなんとかなること

 

【分類3】実は自分がやる必要は全くないこと。

 

【分類4】そもそも仕事としてやる必要がないこと。

 

 

忙しいときほど、こういうことは意識しないと

時間はあっという間に雑用で埋め尽くされます。

 

そしてこういう分類をする時にお勧めなのが
「他人の意見も参考にすること」です。
(人に会って聞くもよし、本やネットで調べるもよし。)

 

自分ではやらなきゃと思っていた仕事が、実は人に言わせると
“自分がやらなくても良いこと”に分類される場合もありますからね。

 

 

そしてこうしましょう。

 

【分類1】絶対に自分がやらないとダメなこと
→ 自分がやる。

 

【分類2】自分がやった方が良いが他の人でもなんとかなること
→ 何割かは自分、それ以外は助っ人に任せて。
→ 或いは…共同作業化!

 

【分類3】実は自分がやる必要は全くないこと。
→ 効率化・マニュアル化して助っ人に頼む
→ AI 活用
→ 或いは…そもそも仕事としてやらない。

 

【分類4】そもそも仕事としてやる必要がないこと。
→ 絶対にやらない。

 

 

上記のような仕事の分類作業をせず、ただやみくもに
従業員や外部サービスに依頼すると…?

 

【分類4】の“そもそも必要ない”仕事に、手間とコストをかけて
他人に依頼することになり、大変な無駄です。

 

そして意外と難しいのが【分類2】と【分類3】の仕事。
必要はあるけど、「全部」自分がやる必要はないという仕事を
いかにして他人に依頼するか

 

 

こういう時の依頼のコツは

超具体的な指示・依頼です。

 

 

説明している時間、依頼内容を言葉にする時間がもどかしい、
自分でやった方が早い!と感じられるかもしれませんが…。
そこを乗り越えれば「次からは少し楽ができる」はず!

 

他人は自分とは違う「思考の前提条件」の持ち主です。
それに限られた資金で100%求める人材やサービスを得るのは
至難の業のはず。

 

まずは自分の普段の仕事を1つ1つ具体的な作業手順にして
言語化しましょう。

 

例;きちんとファイリングしておいて下さい
→ 小さな書類はA4の紙にホチキスで留めてからファイリング
しておいてください。

 

でも言語化できないような仕事もありますよね。

 

それなら「他人との共同作業」として位置付けて、例えば
1人で対応できる場面でもあえて2人で対応するなどして
場の空気まるごと共有すれば何とかやり方も伝わるはず。

 

そうして自分の手元に最後まで残った仕事。
それが【分類1】の“絶対に自分がやらないとダメなこと”です。

 

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(4)限られた資金で時間確保;仕事場には“行く”しかない?

 

さて、仕事の断捨離もできた。
本当に必要な仕事に集中できるようにもした

 

それでもまだ難問があります。
冒頭でも述べましたが起業するしか道がない人というのは
少なからず

 

仕事に専念したくてもできない

 

事情を抱えています。

 

 

そこで保育所、学童、介護サービスなどを利用して仕事をするのですが…。
希望通りのサービスを利用できず、第二・第三の選択肢は費用が高くつく
場合があります。

 

実際に皆さん、どうやってそんな状態を乗り切っているのでしょう。
(注意)もちろん、仕事そのものを断捨離して
任せるべき部分は任せた後、という前提です。

↓  ↓  ↓

【方法1】仕事を持ち帰る

 

【方法2】職住近接にする。

 

【方法3】スマホで出来ることを増やす

 

 

【方法1】の「持ち帰り」ですが、書類そのものを持ち帰るということは
個人的にはあまりお勧めしません。

 

リモートアクセスで自分の職場のPCに接続して続きをやるとか、
なるべくクラウドタイプのソフトを使っておくなどすれば安全性は
保たれます。

 

 

【方法2】の「職住近接」はできる場合とできない場合があります。

 

ただ、急なお迎え、学校や地域の行事、通院、などは容赦なく
仕事時間を中断してきます。それは仕方のないことです。

 

その中断時間を少しでも短くしようとすれば、自宅兼仕事場とするか、
あるいは自宅の近くに仕事場を構えるとだいぶ助かります。

 

 

あと最近おすすめなのが【方法3】の
スマホで仕事という発想

 

ホームページの原稿書き、仕事メモ、予定管理などはもちろん、
最近では自分のスマホで仕事机においている自分のPCを遠隔操作して
仕事をすることもできるようになっています。

 

 

そうやって、あらゆる手を使って「仕事をする場所」そのものを
自分の近くに引き寄せてしまいましょう

 

そうすれば、ふとした細切れの時間で少しでも
仕事を進めることが出来ます。

 

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(5)限られた時間で利益確保;売りたいものより「売れる」ものを

 

さて、大事なのは時間の使い方ばかりではありません。
当然ながら商売である以上「利益」を確保しないといけません
(売上ではありませんよ、「利益」です。)

 

ここで業界での経験が長い人や、まじめすぎる人ほど陥って
しまいがちなことがあります。

 

 

よし、自分はこれでいこうと決めた主力の商品・サービス(A)があって、
他にも実はこういう商品・サービス(B)がある(提供できる)

 

Aが売れるかと思いきや、最近は意外とBの方が売れてきた。
こういう時はどうしますか?

 

時間も資金もたっぷりあるなら、両方売ったら良いと思います。
でも、貴方は時間・資金・体力などのどれかが足りません。

 

それなら、思い切って「売りたいA」よりも「売れるB」に
力をシフトして、売れる方をメインに据えていくことをお勧めします。

 

自分がどんなに力を入れても、自信があっても、それが買い手のニーズに
合っていなければ意味がありません。

百歩譲って、それがたとえニーズに合ったものだとしても、
それが買い手に伝わっていなければ無意味

 

 

自分がその仕事をする前、その商品・サービスの何を知っていて、
何を知らなかったのか思い起こせば大きなヒントになるはず。

 

その結果、本当は自分が売りたかった
商品・サービスからは少し
遠ざかる結果に
なるかもしれません。

 

そういう時は「いつか時間が出来たら」、その売りたい
商品・サービスを売れるよう、工夫・加工を少しずつ進めておき、
時間も資金も限られている今は、「売れるもの」に
しっかり稼いでもらいましょう!

 

趣味ではなく、商売なんですから。

 

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(6)限られた時間で利益確保;差別化を図れる人の発想とは

 

他にはない商品
ここでしか得られないサービス

 

こういうものだと、多少他より割高でもお客様は買ってくれます。
問題はそういう「他とは違う何か」をどうやって提供するかと
いうことです。

 

時間や資金が豊富にある人ならまだしも、自分はそうではない。
では「知恵」を出すしかないですね。

 

 

この差別化ということについては、色んな人が色んなことを
言っていますが、あえていうなら私はこれが最初のステップでは
ないかなと思っています。

 

 

同業他社を意識しない

 

 

最小限の時間と資金で差別化が成功する時って、
「実はこういう商品・サービスって意外と他にない!」
とお客様に思ってもらえる時ですよね

 

そういう思い付き・ひらめきを曇らせてしまうのが、
既存の業界の常識や風景だったりするのです。

 

なので、まずは徹底してお客様目線!

 

アイデアを思い付いた後に
「もしかして他も同じことを思い付いているのかな?」
という視点を持って同業他社のウェブサイト等を
覗いてみるのは構わないと思います。

 

ですが、最初から「他はどんなことやっているのかな?」と
いうところから入っていくのは、ちょっと違うのでは
ないでしょうか。

 

 

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(7)終わりに;今の働き方改革は多くのフリーランスを産む?

 

勘違いされている方もいまだに多いですが、
働き方改革というのは何も「休みなさい」ということでは
ありません。

 

長時間労働で仕事しかできない日々
(家のことができない!)

家事・育児・介護で家のことしかできない日々
(生活費を自分で稼げない!)

 

寿命が伸び、産業構造も高度化かつ多様化して変化も早い
今の世の中でそんな「1つ選べば、もう1つは一生選べない」という
ライフスタイルが限界に達したから、働き方改革ということが
言われ始めたのでしょう。

 

※働き方改革について持論を展開すると長くなるので
ここでは省略します。

 

 

でも、上記の記事でもさんざん書きましたよね。

利益と時間の同時確保は
けっこう難しいですよと。

 

労働時間を減らすのはいいけど
利益を減らすと生活できない。

だから労働時間というのはなかなか
減らないのです。

 

でも「社員さん」には残業させられない。
それなら業務効率を高めてより少ない仕事量で
同じ利益を維持するほかありません。

 

それでも仕事量を減らせないなら?
いったん仕事として成立してしまっている業務は
組織が大きくなるほど難しいものです。

 

そうなると、時間外でないとこなせない仕事は「外注さん」、
つまりフリーランスに任せようという発想が
企業側から出てくるのは自然なことだと思います。

 

まず仕事を効率化・断捨離して「時間外でないとこなせない」
という状態を根本から無くすことをしないと、働き方改革は
骨抜きに終わりますよね?

 

時間外労働をできる人だけが社員になって、あとはパートや派遣、
そしてフリーランスという「自己責任」な存在ばかりになる。
そんな不公平を防止するためにも、同一労働・同一賃金が叫ばれて
いるのでしょう。

 

今後、望まずしてフリーランスになるような人が量産されないことを
祈るばかりです。(考えすぎかもしれませんが)

 

それでも起業して、後戻りが出来ない人へ。
最初は、何をどう努力したらよいのか分からない状態からの
出発です。

 

なので、せめてその努力の方向性だけでも、まるで道案内役の
ように御案内できたらと思い、この記事を書きました。

 

実は私も「起業するしかなく時間もない」人でしたから。

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました

 

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