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年末調整の還付金を「会社から」出す理由

皆さんこんにちは。寒風が身に沁みる季節となりましたね。
風邪も流行っています。気をつけましょう。

 

さて年末近くなので「年末調整」のお話。
毎年のようにこんな質問を受けます。
↓  ↓  ↓

 

年末調整の還付金って、従業員の所得税ですよね。
なんで会社のお金から従業員に返してあげるんですか?

 

↑    

 

従業員の給料から天引きした所得税は税務署に「払う」、
年末調整の還付金は従業員へ返す所得税として「払う」。

 

会社は払ってばっかりじゃないか、と思われるようです。

 

実は会社は少しも損していないんですよ。
だって、そもそも天引きした所得税として税務署に払う額が
その分だけ相殺されて少なくなっていますから。

 

具体的に見てみましょう。

 

 

例えば、A社という会社があって、従業員の給料から差し引いた
所得税(※)が全部で61,000円だったとします。

(※)従業員から預かった所得税、つまり自分の所得税ではないので
普通の所得税とは区別して「源泉所得税」という言い方をします。

 

そうすると、その61,000円は会社が従業員の代わりに
国に納めないといけませんよね。

 

でも1年間に払った月給を集計して、年間トータルできちんと
計算しなおしてみると…。

 

実は従業員の給料から差し引く所得税、多すぎたと判明しました。
例えばここで30,000円多すぎた、と仮定しましょう。

 

会社が既に61,000円を従業員から預かって国に払っていたとしたら?
当然、預かりすぎた30,000円は国から返してもらえます。

 

 

 

で、国から返してもらった「従業員の所得税」は、当然、
その従業員にそのまま返します。
(これが年末調整の「還付金」です。)

 

 

ただ、ここで上記の図を見て気づきませんか?

 

 

 

いったん61,000円を国に払った後で、払いすぎた30,000円を
国から返金してもらう手続きを取るのは大変!

 

なので、実際にはこんな感じで相殺しています。

 

 

 

ここで改めて注意。
払うべき61,000円も返してもらう30,000円も、会社の税金じゃなくて
あくまで従業員の税金です。

 

その精算事務を国を相手にやっているようなもの。
返してもらうお金が「相殺」という目に見えない形で計算されるから
会社側にあまり実感がないのかもしれません。

 

 

目に見えない形…かな?
実はこういう形で「見えて」います。

 

 

従業員の給料から預かった所得税(源泉所得税)を払う時の
支払用紙。そこにちゃんと相殺欄が設けられています。

 

とても地味で目立たない形ですが…。
国の書類って、こういうもんです。(-_-;)

 

それでは本日はこれにて。